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統合失調症という病気をご存知ですか?

 

昔は精神分裂病と呼ばれて怖いイメージがありましたが、
実は、100人に1人かかると言われて誰がかかってもおかしくない病気なんです。

もし自分の家族がこの病気を発症した時、
家族であるあなたはどのような行動を取れば良いのでしょうか?

今回は統合失調症患者についてどのような症状か?
家族はどんなかかわり方をすれば良いのか考えてみましょう。



統合失調症ってどんな病気?


統合失調症の症状はその特徴から陽性と陰性に分けることが出来ます。

陽性症状


妄想

明らかに間違った考えや客観的に受け入れない状態についても、
強い確信をもってしまうことです。
本人による説明も他人には理解が出来ないものが多く、矛盾点を指摘しても
本人は受け入れることが困難になっています。
例としては『誰かにずっと監視されている』、『あの歌は私の為に歌ってくれている』
『誰かに操られている』など・・・

幻覚

実際には起こっていないことを、現実的な感覚として知覚してしまうことです。
まわりに誰もいないのに人の声がすると言った幻聴が最も多く、
その内容も本人の行動や思考に批判テニな内容が多いので、
本人のその後の行動にも影響してしまいます。
また、実際には存在しない物が見えたり(幻視)、臭ったり(幻臭)、感じたり(幻触)などの症状もあります。

思考障害

本人の思考が混乱してしまい、考え方に一貫性がなくなってしまうことです。
その為本人と会話しても話の前後で内容が変わっていたり、
何を話しているのか解からない時もあります。

陰性症状


感情の平板化(感情麻痺)

本人の喜怒哀楽の表現が乏しくなるだけでなく、他者の感情表現に共感することも少なくなってしまいます。
感情を感じることが困難になってしまい、周りで起こっている事に関心が無くなります。

思考の貧困

会話をしていても、比喩などの抽象的な表現や言い回しが出来なかったり、
理解もできなくなります。
その為会話が少なくなったり無口にもなります。

意欲の欠如

自発的に何かをするという意欲が無くなります。
一旦はじめた行動を続けることが難しくなります。
その為日常的な行動例えば、着替えや入浴等にも興味がなくなり、
家族などに促されないと行わなくなります。

自閉

自分の世界に引きこもり、他者とのコミュニケーションを取らなくなります。

統合失調症の過程


病気の経過には4つの段階があり、それぞれの段階によって症状も変わってきます。
まずは病気の前触れが現れる「前兆期」。
眠れなくなる、物音や光に敏感になるなどの症状が現れますが、
この段階では体の不調には気付くものの、
統合失調症だと気づかれる方は多くはありません。

次に「急性期」です。不安や緊張感、敏感さが極度に高まり、
幻聴、幻覚、妄想などの陽性症状と呼ばれる症状が強くでます。
多くの方はこの段階で医療機関を受診し、診断を受けます。

激しく陽性症状が出現した後は「休息期」という段階になります。
急性期が幻覚や妄想という激しい症状が出ていたのに対し、
休息期では抑うつ的な陰性症状と呼ばれる症状が出現します。

無気力や感情の平板化が起き、やる気がおきず家に引きこもることもあります。
この時期は不安定な精神状態でもあるため、
少しの刺激で急性期に逆戻りしやすい時期でもあり、
十分な休息が必要な時期でもあります。

次に「回復期」という段階になります。
これは、休息期に出現した抑うつ的な症状が徐々に収まり、
社会復帰が少しずつ出来る段階になります。

統合失調症の治療方法


 

治療方法ですが、どの段階であっても薬物療法が基本的な治療方法となります。
治療には「抗精神病薬」と言われる薬が使われます。
幻覚妄想などの陽性症状を改善したり、不安や不眠などの改善、
抑うつ的な陰性症状を改善する効果があります。

薬は基本的にはずっと飲む必要性があります
高血圧の薬のように、飲まなくなってしまうとまた症状が現れる恐れが高いからです。
ただ、病状が回復するにつれ薬を減らすことは可能です。
その際も主治医とよく相談し、自己判断による減薬や怠薬をしないように気を付けてください。

統合失調症の薬について知りたい方はこちらにまとめてみました。
⇒統合失調症で使われている薬ってどんなものがあるの?

 また、薬物治療だけでなく、社会復帰に際して精神科デイケアやSST(ソーシャルスキルトレーニング)などを利用し、リハビリテーションをしながら徐々に社会に復帰していく方もいます。薬物療法とリハビリテーションなどの心理社会的治療の二つで治療していきます。

家族のかかわり方


上のような過程をたどり、回復していく統合失調症ですが、
家族はどのように接していったらよいか不安ですよね。
本人が訴える幻聴や妄想も共感できるものではないかもしれません。

一つアドバイスさせて頂きたいことが、「本人を否定しない」という事です。
いくら荒唐無稽な妄想だとしても、本人からしてみたら現実の出来事なのです。
回りからは怠け者と見えてしまいがちな休息期も本人にとっては必要な休息の時間になります。

本人の訴えを否定せず、まずは受け止めてあげてください。
そして家族も治療チームの一員となるとよいと思います。

心配なことは主治医に相談する、薬の飲み忘れを気を付けるなど。
主治医と対応方法について考えあうことが出来るくらい関係が取れれば医療機関にとっても家族にとってもとても心強いものになります。

また行政には障害の窓口があります。
そこで使えるサービスなどの紹介を受けるのもよいかもしれません。
また家族会という勉強や同じ病気の家族を抱える方の交流を目的にした会を開催している自治体や医療機関もあります。
そこで知識を得たり、息抜きをするのもいいかもしれません。

また、統合失調症を発症したのは家族が悪いのではありません
統合失調症を発症した原因は
『私達が患者に対してのかかわり方や環境がいけなかったのでは?』
と悩む家族が多いです。

統合失調症などの精神病は具体的な原因がまだわかっていない病気なので、
色々な憶測がかんがえられます。

なので、『もしかしたら私の言ったあのことが原因?
など家族が考えてしまうかもしれませんが、
そのような流れで、自分を責めてしまいような考えを持った場合、
ストレスや疲れの原因となり体調を崩す場合があります。

患者を治そうとしている時にこの様な思考で接すると、
自分も同じような病気になる場合があります。
まさに『ミイラ取りがミイラになる』状態になります。
なので、あまり申告にならない程度で患者と付き合っていくことが大切です。


終わりに


以上統合失調症という病気についてお伝えしましたが、
統合失調症は薬を正しく飲み、治療の過程を知れば決して怖い病気ではありません。
家族の方も不安でいらっしゃるかと思いますが、
ご自身の心身をご自愛頂きながら、本人に寄り添って頂ければと思います。